最近、歯科医院に来院される方のなかで目的が治療のみでなく、口の中の清掃であったり、歯の検診であったり、というかたも時々いらっしゃいます。
また、治療が終了した方も、そこから定期健診というかたちで、予防に入っていきます。
病気も早期発見、早期治療が大事ですが、それ以上に病気にかからない為の大切なのは言うまでもありません。
健康でより良い生活、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)のために、予防と言う分野はとても大切なものと言えます。
歯科の予防は主に歯周病とムシ歯(カリエス)の2通りあります。
歯周病予防
ぺリオ診断
“ぺリオ”とは歯周病のことですが、ぺリオ診断は歯ぐきの深さ(歯周ポケット)の測定を行ったり歯ぐきからの出血や歯の動揺、歯を支えている骨(歯槽骨)の状態を診ます。
歯石除去
歯石は、唾液の中の成分や、細菌などが石灰化し、歯の根の周りに自然に付いたものです。歯石を取った事の無い方や、歯周病のある方は歯科医院での歯石除去をお勧めします。
口腔内細菌検査
口腔内細菌検査は、口の中の歯石をとって顕微鏡で歯周病菌の有無を検査して歯周病菌の数が多い場合は抗生物質を使って菌の抑制をします。
乳酸菌タブレット
歯周病はバイオフィルムが原因で起こる感染症ですが、予防するにはバイオフィルムのコントロールが重要です。
機械や抗生物質によるコントロールも有効ですが、乳酸菌も歯周予防や口臭予防の効果があることがわかっています。そこで登場したのが、乳酸菌タブレットです。
カリエス予防
う蝕診断法
う蝕はムシ歯のことですが、この、う蝕診断法とは、口の中がムシ歯にかかりやすい状態なのか、または、ムシ歯になっていないか、を診断する方法です。
シーラント
シーラントは“う蝕診断”で、まだ、ムシ歯にはなっていない、または初期ムシ歯で削ったりする程ではないムシ歯の場合に、予防として前もって、歯の溝をきれいに掃除した後に薬を入れてムシ歯にかかりにくくする方法です。
フッ化物歯面塗布
PMTCで歯の表面をきれいに掃除した後にムシ歯予防効果の高いフッ素を含有したゲルを歯の面に1~4分ほど塗布します。この予防法は、乳歯だけでなく、全ての歯に適しているので、年齢を問わず使用できます。
3DS
D⇒デンタル(歯科)D⇒ドラッグ(薬)
D⇒デリバリー(届ける)S⇒システム
飲み薬とは違い、歯の表面にだけムシ歯菌に対して抗菌作用のある薬を選択的に直接投与する方法です。
ブラッシング指導
一口にブラッシングと言っても、歯の磨き方はたくさんあります。
また、個人個人の口の中の状態や、まだ乳歯だけの子供や乳歯と永久歯の生え変わり時期の小学生、歯周病の方、などそれぞれに磨き方が違います。
また、自分の歯の磨き方の癖や、磨きにくい場所などは皆さん意外と気がつかないものです。
どのように磨いたら一番効果的か、今の自分のブラッシングの仕方は合っているのか、きちんと磨けているのか、など、知っておくとムシ歯や歯周病予防に役に立ちます。
PMTC
歯は毎日きちんと磨いていても、どうしても歯の隙間や歯肉の中などに磨き残しや歯石が付いて来ます。
その汚れが何日も付いたままになると、そこに細菌が集まり、歯の表面に膜を作ります。これを“バイオフィルム”と言います。
バイオフィルムは一度形成されると歯ブラシではなかなか取る事が出来ないため、放っておくとムシ歯や歯周病が進行します。
これらを防ぐために、歯科衛生士が機械や専門のジェル、ペーストを使ってバイオフィルムを破壊・除去し、歯の表面をツルツルに磨いていきます。
歯の表面を磨くことにより、プラーク(歯垢)がつきにくくなるので、バイオフィルムも形成されにくくなるわけです。
ムシ歯を予防するには、プラークコントロールが大切です。(プラークとは、歯に付いた汚れ 細菌層のことです。)それ以外にも普段から規則正しい生活と、バランスの取れた食事やブラッシング、歯科医院による定期健診を受ける事をお勧めします。自分では磨いているつもりの歯も、意外と磨き残しがあるものです。“磨いている”のと“磨けてる”のは違うのです。 磨き残しがあるとプラークの中の細菌が歯ブラシでは取れない頑固なバイオフィルム(細菌の層)となってしまいます。そうならない為にも歯科医院でのPMTCをうけておくと安心です。